第10章
福屋兼広【初代本明城主】
から
福屋景兼【5代本明城主】
まで《石見》
中臣氏⇒藤原氏⇒御神本氏⇒益田氏⇒福屋氏 〜石見国〜
前の第9章では宗家である益田氏とその庶子家である三隅氏と福屋氏に触れた。この第10章では戦国時代の福屋氏に焦点を当てる。
系図F
※1 ※2 ※3 ※4 ※5 ※6
[第9章の系図Eから続く] → 兼広 → 兼仲 → 兼親 → 兼行 → 景兼 → 兼香 → [第11章の系図Gに続く]
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[文献表1番・2番18-23頁・12番5173頁・14番]
※1 益田兼広、後に福屋兼広
兵衛尉。天福元年、福屋に移居し、是より福屋氏。初代本明城主。安濃郡鳥居、邇摩郡福光地頭転、一に永安地頭。 [文献表2番]。
福屋郷は現在の島根県旭町今市付近を指す。貞応2〈1223〉年の「石見国田数注文」(益田家文書)によると、那賀群の条木田・久佐・阿刀・重富と邑智郡の市木5ヵ所は「ふくや知行」とあった。そして、「福屋郷」は正和2〈1313〉年の「関東御教書」に初見した [文献表11番574頁」。
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福屋兼広は、邑智郡日和城に住み、日和冠者と称した。そして、天福元年〈1233〉、本明城へ移り住み福屋氏を名乗った。「邑智郡市木郷の一部、那賀郡永安、木田、稲光本郷、同久富、久左などを領した。」[文献表19番]
家古屋城(江津市旭町)
1233年、福屋兼広が城築 [文献表28番]。
「kakoyajo: Old castles 家古屋城」 [文献表27番] へ
家古屋城跡 「歴史を歩く(旭)− 島根県浜田市」 [文献表28番] へ
本明城 (或いは、音明城、乙明城、福屋城)(江津市有福温泉町本明)
[文献表31番・32番・33番・34番・61番189頁]
「本明乙明城」 [文献表31番] へ
「本明山」 へ
現在、本明城本丸跡には福屋氏が信仰していた金比羅宮が祀られている [文献表32番]。
※2 福屋兼仲(2代本明城主)
兵衛次郎。弟に藤次と藤五がいた [文献表2番]。
三隅兼信の次男・乙法師は、永安別符、須津・小弥富を割譲され、永安家始祖となった。その後、乙法師は兼祐と改めた。『文武天皇御宇』〈697-707年〉によると、兼祐の妻・尼良円は、福屋兼仲の娘・津淵持参であった [文献表25番] 。
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※3 福屋兼親(3代本明城主)
彌太郎ともいう。 彼の弟に兼継(福光左衛門尉。 福光氏祖)、兼網(横道氏祖)、兼保(井田氏祖)がいた [文献表2番19頁・14番]。
建武3年〈1336〉、福光村は、福光三郎太郎兼継の支配下にあった。応永13年〈1406〉、周布氏に渡り、天正2年〈1574〉、経家に譲られた [文献表11番573頁]。 他の文献によると、永禄2年〈1559〉、吉川経安が館城を改造し、福光城を築いた [文献表29番・61番188-189頁]。
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※4 福屋兼行(4代本明城主)
孫太郎。延元4年〈1339年〉に、兼行は市山城に出戦した [文献表12番5173頁]。
弟に兼秀(五郎太郎)がいた [文献表2番]。
※5 福屋景兼(5代本明城主)
兼景、又は彌太郎ともいう。左衛門。南朝巧臣。
弟に兼氏(或は又五郎。修理亮)がいた [文献表2番]。
※6 福屋兼香(詳細は第11章を参照。)
南北朝時代
南北朝時代は、建武3年、又は延元1年〈1336〉から明徳3年〈1392〉までの57年間をいう。後醍醐天皇が京都を脱出し吉野に朝廷(南朝)を開いた。その一方、足利尊氏は光明天皇を擁して京都に室町幕府を開いた。
この「大覚寺統=南朝」対「持明院統=北朝」 の政治的枠組みの中で、対立を深め歴史は動いていった。両統迭立とは、これら二統が対立し、両統からほぼ交互に皇位についた事をいう。この対立が全国各地の武将まで影響を及ぼした [文献表24番867頁・85番36頁・86番76-85頁]。
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南北朝時代の石見
南北朝動乱期の石見は、中西部に福屋氏の他、益田氏・三隅氏・周布氏、西部の津和野には吉見氏、東部には小笠原氏・久利氏・佐波氏・高橋氏等の在地領主が割拠していた [文献表40番7頁]。これらの武将たちが南北朝に分かれ攻防戦を繰り広げていった。益田兼見・虫追政国・乙吉十郎・吉川経明らが北朝方につき、これに対して、福屋兼行・三隅兼連・周布兼家・高津長幸・佐波顕連・小笠原長氏・新田義氏らが南朝方に従った [文献表11番32頁]。(「石見の豪族」 [文献表80番] へ)
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初版公開:2009年6月9日
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