福屋一族の軌跡 著者:福屋義則ふくやよしのり

第20章
岩国藩

福屋家



岩国藩

岩国藩は吉川広家〈1561-1625〉を祖とする。彼は毛利元就もとなりの次男・吉川元春の三男である(下記の毛利家・吉川家・小早川家系図を参照)。広家は出雲国・富田とだ城12万石城主から岩国3万7000石(後、6万石)城主に転封となった。なぜなら、慶長5年〈1600〉の関が原の戦いにおいて毛利輝元は西軍総大将であったにもかかわらず、吉川広家が東軍・徳川家康の勝利を予期したため、毛利家の存続を図ろうと画策したから


である。だが、家康の処置は厳しく、次の事であった。輝元には8ヵ国 (安芸あき周防すおう長門ながと石見いわみ出雲いずも隠岐おき伯耆ほうき備後びんご) 121万国の領地没収と隠居を、息子の秀就には2ヵ国(周防・長門)36万9000石の領主を命じた。この領地のうち、一族の広家は岩国3万7000石を与えられた [文献表41番8頁と20頁・48番]。 岩国藩は13代・経健つねたけまで続いた [文献表89番]。(岩国藩の概要




毛利家・吉川家・小早川家 [文献表61番198頁]
毛利元就 ┏毛利隆元  (元就の長男)→ 毛利輝元 →毛利秀就→
         ┣吉川元春  (元就の次男)→ 吉川広家(初代岩国藩主)→
         ┗小早川隆景(元就の三男)→ 小早川秀秋 →



岩国城

元和げんな元〈1615〉年、幕府の一国一城令の為、三城(岩国・山口・長府)を破却した [文献表67番12頁]。岩国城は慶長13〈1608〉年に落成し7年間だけ存在した。城は二つの部分から成った … 山上部(標高300m)と南麓の居館部。天守は四重六階で、上層部が下層部より張り出していた。城の破却後、山下の館が陣屋として残った [文献表84番「岩国城」・88番112頁]。



16人の福屋氏

16人の福屋氏が 『旧岩国藩御家人帳』 [文献表6番] に掲載されている (図20-1を参照)。これは明治4〈1871〉年の時点で岩国藩に仕えていた家長の名前である (岩国市教育委員会文化財保護課・岩国徴古ちょうこ館から2008年6月10日消印の手紙)。 なお、福屋□之助(正確な名前は不明)の名前は『御家人帳』 [文献表74番] にも載っている。これは嘉永かえい初期〈1848年〉頃岩国藩に仕えていた藩士を載せている。



図20-1:岩国藩の福屋氏
名前 石高 引用頁
御弓組 福屋□之助 拾三石 26
御鉄砲組 福屋誠一 八石 36
御鉄砲組 福屋清冶 七石 37
御鉄砲組 福屋小藤太 六石八斗 37
御鉄砲組 福屋巻之允 六石 37
御鉄砲組 福屋敏次郎 五石 38
御鉄砲組 福屋弥左衛門 四石二斗 38
御鉄砲組 福屋源冶 四石 38
御鉄砲組 福屋清吉 二石 39
御鉄砲組 福屋山三郎 三石 (切米取り) 40
御鉄砲組 福屋弥三 三石 (切米取り) 40
御鉄砲組 福屋次郎右衛門 二石七斗(切米取り) 40
御鉄砲組 福屋林太郎 二石五斗(切米取り) 40
御小人組 福屋林右衛門 八石 42
御煮方 福屋喜兵衛 六石五斗 45
定仕 福屋弥惣左衛門 三石五斗 45
『旧岩国藩御家人帳』 [文献表6番] による。


福屋誠一
私の祖先である。御鉄砲組に属した。(岩国藩鉄砲隊の歴史


福屋弥惣左衛門やそうざえもん
『旧岩国藩御家人帳』によると、彼の職は定仕となっています [文献表6番]。定仕というのは、作事組の足軽、つまり、大工です [文献表93番547頁] 。(岩国藩の職制

『郷土の文化財』 [文献表10番] から下記に直接引用した。


『郷土の文化財』

郷土の文化財 57 岩国
木像力士像 (蛙股)岩国市指定文化財


力強さあふれる非凡な彫刻技術
力士像は蛙股で、金正院の向拝に掲げられており、ケヤキ造りで、高さ・幅とも32cm、重さ50kgです。金正院は、もと観音堂といい、1800年から1802年ごろ改築が行われましたが、力士像はこの時奉納されたものです。この像は特異な意匠を有しており、その彫刻技術は力強さがあり、非凡なものが認められます。 作者は岩国千石原生まれの出目上満でめじょうまん作(本名・福屋弥惣左衛門)です。岩国藩の作事組に属した工人で、弘化2年(1845年)に没していますが、江戸時代における岩国の工人として数少ない存在です。

[文献表10]


福屋弥惣左衛門に関する記録の矛盾点

一説(岩国市教育委員会文化財保護課)によると、明治4〈1871〉年、福屋弥惣左衛門は岩国藩に仕えていた。ところが、他説(『郷土の文化財』)によると、彼は、弘化2年〈1845年〉に没したとされている。福屋弥惣左衛門二代目も存在したのであろうか。



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初版公開:2009年6月9日 最終更新:2009年7月9日
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